蝋の製造

松井本和蝋燭は良質の木蝋のみ使用しています。

櫨(はぜ)の木の栽培は、江戸時代の初期からと推測されています。蝋を搾るハゼの木は、暖かい九州、四国、沖縄地方に多く栽培されています。

2022.2.28に書籍【和ろうそくは、つなぐ】アリス社より初版発行されました。3代目和ろうそく職人が多数掲載され、また芯巻き職人も紹介されています。

 

【アリス社様参考文】和ろうそくのもとをたどっていくと、 使い終わったものがまた次にいかされ、藍染、和紙、 墨…と、さまざまな仕事がつながっていった。季節に添い、捨てるものがなかった暮らし。今もつながる日本の文化を、大西暢夫が伝える。

 

大西暢夫/写真・文 小学校中学年から 48ページ

 

 著者の大西暢夫様は写真家であり、映画監督です。映画や絵本で多数受賞経験があり、著書は20冊ほど出版されています。

 

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木蝋の原料となる櫨の実の採集
[ウルシ(漆)科]に属してる、ハゼ木の‘実’を採集します。
和歌山県海草部上野車野にて
七良浴正(しちりょうさこ)さん

ハゼの木栽培はそれほど古いものではなく、江戸時代の初期からと推測されています。蝋を搾るハゼの木は、暖かい九州、四国、沖縄地方に多く栽培されています。ハゼの木の特徴として、若葉のころに触れるとかぶれると言われていますが、11月中旬を過ぎると、葉が落下する、このころになるとかぶれる心配もなくなります。‘実’は緑色から濁ったような黄色に変色する。この時期が‘実’を採取する頃合となります。

  櫨庫の内部
和歌山県海南市吉田製蝋所
  実をすりつぶす
石うすを使い、櫨の実をすりつぶします。
  すりつぶした櫨の実
これで約60kg分の蝋になります
  蒸気で蒸す
  蒸し上がった櫨の実を圧力をかけ絞る
  油圧で絞る
  絞り終わったカス
  液状のうちに型に入れ、固める。
  上部は、絞った櫨蝋を型に入れてかためたもの(木蝋)。
下部は櫨の実(右下)、種(下中央)、絞りカス(左下)。
  このような良質な木蝋を私の工房では使用しております。

 

 

蝋(ろう)についてのマメ知識

【櫨(ハゼ)】
ハゼはウルシ科の落葉高木で、神谷宗湛(1551~1635年)が1500年末期にハゼの実を中国南部あたりから輸入し、肥前の唐津地に於いて栽培し、その後筑前にも広げた。江戸時代に入るとウルシロウもハゼロウの生産量も多くなり、蝋燭の需要も増加した。木蝋は、粘り気のあるち密な組織をもっているので、蝋燭を造っても斑点や亀裂が生じない。

木蝋で造った蝋燭は上が太いが、それは、点火の当初はしばらく大きな炎と明るさを得るために考えられたと言われている。

[木蝋の使途]
主として蝋燭だが、晒(さらし)蝋は、瓶づけ、ポマードなどの化粧品、軟膏、磨き剤などに使われています。

[栖し蝋](白蝋ともいいます)
あたためた液状の蝋を清水の上に少しずつ落としできるだけ薄い蝋の固まりにし、それをせいろに並べて天日で30日~40日間晒して造る。

→櫨(ハゼ)についてもっと詳しい情報はこちら